今こそ日中で民間交流を

 

日本僑報社編集長

日中交流研究所所長

段躍中

 

今、私のふるさと、中国・湖南省は、雪害で深刻な影響を受けている。1月10日頃から降り始めた雪は、100年に一度と言われる大寒波の中降り続き、甚大な被害をもたらした。

被災者は湖南省全人口の3分の2の3927.7万人にのぼり、春節(旧正月)があけたばかりにもかかわらず、現在も寒さやライフラインの途絶に苦しんでいる。また、被害額は増加し続けている。降り積もった雪は凍害の被害をもたらし、農作物被害も発生した。しかも、これからも雪が降り続くとの予報が出ている。

湖南出身の私は、ニュースと現地から困窮した状況を続々と耳にし、居ても立ってもいられず、来日17年初めて救済金の募集に取り組んだ。メールマガジンで救済金お願いの特集を組み、救済金のホームページを設けた。また、編集長の職にある日本僑報社では、書籍(全書籍が対象)を購入していただき、その代金を全て救済金とするチャリティーを開始した。

 

あの手この手を使って救済金の募集を呼びかけていたが、しかし、もしかしたら殆ど集まらないのではないかと危惧していた。ギョーザ事件である。

今、中国と言えば中国製ギョーザ中毒事件が思い浮かぶ方が大勢いるだろう。被害に遭われた方に心よりお見舞い申し上げ、一刻も早い完治を願っている。また、日中両国で協力して捜査を行い、早急に真相を解明し、食の安全を確保すべきだと思う。

だが、ギョーザ事件と中国や中国人を十把一絡げにする動きには、心を痛めている。連日のようにギョーザ事件が報道され、中には無責任な報道も目につく。事件の情報は発信されるべきだが、それは受け手の役に立つ確実な情報である必要があり、原因が特定されていないのにもかかわらず、推定や憶測で煽るかのような報道、それを受けての拒絶反応で、改善されつつある日中関係を損なう反中国論・嫌中国論、中国や中国人そのものに対する不信感が大きくなることを恐れていた。

 

しかし、危惧していた救済金だが、一週間足らずの間に、復旧を願うあたたかいメッセージと共に、日本人の皆さん、在日中国人の同胞から少しずつ募金をいただいている。国内だけでなく、北京に在住している日本人の方からも反響があった。

寄せられた救済金に厚く感謝し、日中関係は民間交流に支えられていることを実感した。民間の力が日中友好を底上げし、両国を橋渡ししている。ギョーザ事件や無責任な報道に流されることなく、湖南省の苦しみをわかってくださったことに胸が熱くなった。

 救済金にはメッセージを添えて下さった方々もいた。「湖南の方々の生活が、一日も早く日常に戻られますよう、心からお祈りします。」中には元日本軍兵士として「昭和19年、私は追及部隊の一兵士として、御地を通過し、米などの食料を徴発しました。おわび申し上げます。」とのメッセージもあった。また、「書を持って中国湖南雪害を救おう!」とチャリティーをブログに紹介下さった方もいた。

 

 この救済金の経緯やあたたかいメッセージを湖南省に伝えたところ、「日本人の皆様のあたたかい心に、雪がとける思いです。是非、感謝の意を伝えてほしい」と大変感激された。被災し、辛い思いをしているときに、励まされることほどうれしいことはない。それが海を離れ、ギョーザ事件の渦中にある日本からの思いがけないあたたかい支援の手であれば、どれほどであろうか。

 ささやかな救済金であるが、中国の大手新聞・人民網や中国新聞社に取り上げられ、日本で救済金が集められているという報道がなされた。日本でも湖南を心配しているという励まし、日本人のあたたかい気持ちが、被災者に伝わることを願っている。

今こそ日中で民間交流の促進を。日中関係の基礎は国民にあり、国民の感情こそが21世紀の日中関係を左右する。餃子事件のような問題が起こっても、感情論ではなく冷静に対応し、日中両国民の誤解を減らし、信頼関係を築いていくことができる。

 そして、可能であれば救済金をお願いしたい。金額の多寡ではなく、救援の手を差し伸べ、日本人のあたたかい気持ちを贈ってほしい。

 

  ※湖南雪害救済金

郵便振替口座番号 00140−3−583886 日本僑報社

   通信欄に「湖南雪害救済金」と明記(2008年2月29日まで)

救済金・チャリティーの詳細http://duan.jp/link/20080208.htm

(救済金は、募集期間終了後速やかに中国大使館もしくは中国・湖南省の僑務辧公室を通じ、被災地区に配分。配分対象地域は、現地の僑務辧公室と協議して決定。)